「運動したほうがいいのは分かっている。でも、その時間がどうしても取れない」
30代になってから、そう感じることが増えていないでしょうか。
仕事の責任は増え、帰宅すればもう疲れている。休日にまとめて運動しようとしても、なかなか続かない。
こうした状況で運動不足を感じている場合、いきなりジムに通う時間を作ろうとするより先に、見直せる部分があります。それが「NEAT」という考え方です。
NEATとは、スポーツや計画的な運動以外の日常生活で身体を動かすことによって生じるエネルギー消費のことです。歩く、立つ、家事をする、仕事中に身体を動かすといった活動が含まれます。
運動不足そのものについては、「30代の運動不足を解消する方法|忙しい会社員でも続く運動習慣の作り方」でも扱っています。
この記事では、NEATの意味と、日常生活の中で身体活動を見直す方法を紹介します。
この記事でわかること
- NEATとは何か、運動とどう違うのか
- NEATを増やすと、日常の身体活動量や1日のエネルギー消費にどう関係するのか
- 30代が「運動する時間がない」と感じやすい理由
- 歩く・立つ・階段・家事など、日常生活でNEATを増やす方法
- NEATを日常に取り入れるための考え方
- NEATと運動をどう使い分ければよいのか
NEATとは?運動以外の身体活動によるエネルギー消費
NEATとは、スポーツや計画的な運動以外の日常生活に伴う身体活動によって生じるエネルギー消費のことです。歩く、立つ、家事をする、仕事中に身体を動かすといった活動が含まれます。
ここでは、NEATの意味と運動との違い、NEATを増やすことで日常の身体活動量や1日のエネルギー消費にどう関係するのかを整理します。
NEATの意味
NEATとは、Non-Exercise Activity Thermogenesisの略で、スポーツやトレーニングのような運動以外の日常生活に伴う身体活動によって生じるエネルギー消費を指します。
例えば、歩く、立つ、家事をする、仕事中に身体を動かす、階段を使うといった活動が含まれます。
NEATは、エネルギー消費を研究する中で整理されてきた概念で、ジェームズ・レビン氏らの研究によって広く知られるようになりました(*1)。
通勤で歩く、家事をする、仕事中に立って作業する、階段を使う。こうした、運動とは呼ばれない日常の動きが、NEATに含まれます。
NEATには大きな個人差があり、仕事や日常生活での活動量によってもエネルギー消費は異なります(*2)。
NEATには、仕事や移動、家事などの日常生活におけるさまざまな身体活動が含まれます(*3)。
つまり、意識して運動をしていなくても、日常の動き方次第で、身体活動の量は変わってくるということです。
運動とNEATは何が違う?
NEATと運動の違いは、主に活動の性質にあります。運動はスポーツやトレーニングなど、意図的・計画的に行う身体活動を指すのに対し、NEATは日常生活に伴う身体活動によるエネルギー消費を指します。
| 運動 | NEAT | |
| 例 | ランニング、筋トレ、スポーツ | 通勤で歩く、階段、立ち仕事、家事 |
| 特徴 | 計画して行う | 日常生活の中で生じる |
| 目的 | 体力・健康など | 日常活動に伴うエネルギー消費 |
「運動するか、まったく何もしないか」という二択で考える必要はありません。運動をしていない日でも、日常の動き方によって、身体活動の量には差が出ています。
NEATを増やすと何が変わる?
NEATは、日常生活に伴う身体活動によるエネルギー消費を表す概念です。そのため、NEATを増やすことは、一日の中で身体を動かす時間や機会を増やし、1日の総エネルギー消費を構成する活動量にも関係します。
例えば、通勤で歩く、仕事中に立つ、階段を使う、家事をするといった活動です。
こうした活動は、1日の総エネルギー消費を構成する要素の一つでもあります。特に、座っている時間が長く、日常的な移動や立つ時間が少ない生活では、普段の活動量を見直すきっかけとしてNEATという考え方を使えます。
30代はなぜ「運動する時間がない」と感じやすいのか
30代で運動する時間を確保しにくい背景には、仕事や家庭など生活上の役割に加え、運動には着替えや移動などの準備も必要になることがあります。
ここでは、運動のためにまとまった時間を作ることが難しい理由と、日常の身体活動に目を向ける意味を整理します。
仕事や生活で一日の時間が埋まりやすい
デスクワーク、通勤、会議、残業。仕事だけでも一日の大半が埋まり、そこに家事や日々の用事が加わります。30代になると、仕事での責任や家庭など、生活上の役割が増え、自由に使える時間が限られている人もいます。
そのため、「運動のために30分確保する」という方法だけでは、生活に組み込みにくいことがあります。
「運動するなら30分」のように考えると始めるハードルが上がる
運動というと、着替え、移動、シャワーまで含めて、それなりの時間と手間がかかるものとして捉えがちです。この「準備を含めた負担の大きさ」が、始めること自体のハードルを上げています。
30代の体力低下は「年齢」だけで考えない
30代になって以前より体力が落ちたと感じても、それを年齢だけのせいにする必要はありません。仕事や生活の変化によって、日常的に身体を動かす機会そのものが減っている可能性があります。この点については、30代の体力低下はなぜ?原因と見直すべき4つのポイントで詳しく扱っています。
NEATを増やすなら「運動」ではなく日常の動きを変える
NEATを増やす方法は、日常生活の中で歩く、立つ、階段を使う、家事をするといった身体活動の機会を増やすことです。新しい運動時間を作るだけでなく、すでにある移動や仕事、家事の中で身体を動かす場面を見直すことができます。
ここでは、日常生活の中で取り入れられる具体的な方法を紹介します。
歩く時間を少し増やす
近い距離なら歩く。いつもよりひと駅先のお店を使ってみる。通勤の中に、歩く場面を一つ作る。歩数の目標を厳密に決める必要はありません。
例えば、近距離の移動で車や電車を使う代わりに歩く、昼休みに少し遠い場所まで歩くなど、すでにある移動の一部を歩行に変える方法があります。
座っている時間を減らす
長時間座り続けず、仕事の合間に一度立つ。電話など、立ったままでもできる作業は立って行う。
座っている時間を減らすこと自体をNEATと同一視するのではなく、立つ・歩くといった身体活動の機会を増やすこととして考えます。
デスクワーク中心の生活では、仕事中の移動が少なく、長時間座ったままになることがあります。電話をするときに立つ、休憩中に少し歩くなど、仕事の合間に身体を動かす場面を作ることができます(*4)。
階段を使う場面を増やす
すべての移動を階段にする必要はありません。低い階では階段を選ぶなど、日常の移動の一部を変える方法があります。「今日はここだけ階段にする」と決めてもいいでしょう。
家事や買い物でも身体を動かす
掃除、洗濯、買い物、片付け。これらは運動の代わりというより、もともと生活の中にある身体活動です。こうした場面も、日常の活動量を見直すきっかけになります。
NEATを習慣にするための4つの考え方
NEATを日常に取り入れるには、運動の時間を新しく作るだけでなく、普段から行っている行動の中に身体を動かす場面を組み込む方法があります。
ここでは、仕事や移動などの日常生活を大きく変えずに、NEATを意識するための4つの考え方を紹介します。
「運動する時間」を新しく作ろうとしすぎない
新しい予定を生活に追加するのではなく、すでにある行動の中に、身体を動かす要素を組み込む方が現実的です。
「毎日やること」に動きを紐づける
コンビニに行くなら、少し歩く。電話をするなら、立って話す。エレベーターの前で、階段を選べる場面がないか考える。
すでに毎日行っている行動に動きを組み込めば、新しい運動の予定を一から作る必要がありません。
仕事が終わった後に運動する気力が残っていない
時間はあっても、身体が重くて動きたくない。そんな日もあるはずです。運動を始めるまでの心理的な負担が大きいと感じる場合は、「疲れているから運動できない30代へ|1分だけ動くと楽になる理由」も参考になります。
そのうえで、NEATの考え方に戻ると、「運動する」ことにこだわらず、生活の中にある小さな動きを見直すことで、日常の身体活動量を増やすきっかけになります。
最初から生活を大きく変えない
一度にすべてを変えようとせず、まず一つの行動を見直すところから始めてください。「頑張って運動する」ことだけを考えるのではなく、普段の生活の中で自然に動く機会を増やしていきます。
NEATと運動はどう使い分ける?
NEATを増やすことは、筋力トレーニングや有酸素運動などの代わりになるという意味ではありません。
NEATは、日常生活に伴う身体活動によるエネルギー消費を表す概念です。一方、運動には体力や筋力など、特定の目的に合わせて計画的に身体を動かす役割があります。
そのため、「運動する時間がないからNEATだけで十分」と考えるのではなく、日常の活動量を見直しながら、可能な範囲で運動も取り入れるという考え方が適切です。
NEATと運動は役割が違う
NEATを意識することは、運動をやめるという意味ではありません。日常生活の活動量と、計画的に行う運動は分けて考えることができます。筋力や心肺機能を高める目的では、運動が必要になる場面もあります。目的によって、両方を使い分けることができます。
短い時間でも運動を取り入れる方法がある
NEATで日常の活動量を見直したうえで、さらに運動の時間を少し確保したい場合は、長時間の運動だけを考える必要はありません。毎日10分程度の運動から取り入れる方法もあります。
まずは一日の中で「動く機会」を一つ増やしてみる
NEATを増やすときは、生活のすべてを変えようとするのではなく、まず一つの場面から見直してみましょう。
今日からできるNEAT習慣
- 近距離の移動を一つ、歩きに変える
- エレベーターではなく階段を使える場面を一つ作る
- 仕事中に立つ時間を作る
- 休憩中に少し歩く
- 家事をこまめに行う
すべてを一度に変える必要はありません。まずは自分の生活の中で、自然に変えられそうな一つを選ぶことから始めます。
よくある質問(FAQ)
Q1. NEATには具体的にどんな活動が含まれますか?
通勤で歩く、階段を使う、立って作業する、家事をする、荷物を運ぶといった、スポーツや計画的な運動以外の日常の動きが含まれます。仕事中の移動や、こまめに立ち上がる動作なども対象です。
Q2. NEATを増やすと、消費カロリーはどれくらい変わりますか?
具体的な数値は、体格や活動内容によって大きく異なります。研究では、同じような体格の人同士でも、日常の活動量の違いによって1日あたりのエネルギー消費に大きな差が生まれることが報告されています(*2)。ただし、「何をどれだけ増やせば何kcal」と一律に示せるものではありません。
Q3. NEATは運動の代わりになりますか?
代わりにはなりません。NEATは日常生活の活動量を見直す考え方であり、筋力トレーニングや有酸素運動が持つ、心肺機能や筋力への働きかけとは役割が異なります。目的に応じて、両方を別のものとして考える必要があります。
Q4. NEATを増やせば痩せますか?
NEATを増やすことが、体重の変化に必ずつながるとは言い切れません。体重は、食事の内容や全体の消費エネルギーなど、複数の要因によって決まります。NEATはその一部にすぎず、単独で効果を保証できるものではありません。
Q5. 座り仕事中心でも、NEATを増やすことはできますか?
できます。電話を立って取る、資料を取りに行くついでに少し歩く、休憩のたびに一度立ち上がるなど、デスクワークの合間にも取り入れられる動きは複数あります(*5)。大きな環境の変化がなくても、行動の選び方次第で活動量は変わります。
Q6. NEATを増やす効果は、どのくらいの期間で感じられますか?
明確な期間は示せません。体感の変化には個人差があり、日常の動き方をどの程度変えるかによっても異なります。NEATは短期間の変化だけを見るのではなく、日常生活の活動量を見直す考え方として取り入れるとよいでしょう。
まとめ
NEATは、スポーツや計画的な運動以外の日常生活に伴う身体活動によるエネルギー消費を表す概念です。
NEATを見直すことで、歩く、立つ、階段を使う、家事をするなど、一日の中にある身体活動の機会に目を向けることができます。こうした活動は、1日の総エネルギー消費を構成する要素の一つです。
ただし、NEATは運動そのものをすべて置き換えるものではありません。運動する時間が取りにくいときこそ、まずは日常の中で身体を動かす機会を一つ増やすところから考えてみましょう。
頑張る量を増やすのではなく、普段の生活の中にある「動く機会」を見直す。NEATは、そのための一つの考え方です。
整え男子の秘密基地では、30代男性の仕事や日常のコンディションを整えるための情報を紹介しています。
運動で体を動かす「動」。
睡眠や集中力を整える「静」。
食事や身だしなみなど、毎日の土台を整える「BASE」。
どれか一つだけではなく、その日の自分に必要なところから少しずつ整えていく。そんな使い方をしてもらえればと思っています。
調子が出ないときは、またこの秘密基地に戻ってきてください。
*この記事は「整え男子の秘密基地」の一部です。
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参考情報
*1 Levine, J. A.(2004)「Non-Exercise Activity Thermogenesis (NEAT)」Nutrition Reviews, 62, S82-S97.
*2 Levine, J. A., Vander Weg, M. W., Hill, J. O., & Klesges, R. C.(2006)「Non-Exercise Activity Thermogenesis」Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology.
*3 Levine, J. A., & Kotz, C. M. (2005). NEAT—non-exercise activity thermogenesis—egocentric & geocentric environmental factors vs. biological regulation. Acta Physiologica Scandinavica, 184(4), 309–318.
*4 World Health Organization. (2020). WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour. Geneva: World Health Organization.
*5 Rizzato, A., Marcolin, G., & Paoli, A. (2022). Non-exercise activity thermogenesis in the workplace: The office is on fire.

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