プロテインを飲んでも筋肉が増えない理由|研究からわかった砂糖入り飲料の影響

明るいキッチンでプロテインシェイカーを見つめながら砂糖入りの缶飲料を遠ざける30代男性のイラスト。加糖飲料が筋肉量に与える影響を解説する記事のアイキャッチ画像 【BASE】FOUNDATION RESET

筋トレを続け、プロテインも欠かさず飲んでいる。食事でも肉や魚を意識して食べている。

それなのに、なんで筋肉がつかないのだろう——そんな思いを抱えている人は多いのではないでしょうか。

たんぱく質をしっかり摂れば筋肉は増えるはず、というのはある種の常識として広まっています。もちろんたんぱく質は筋肉の材料として欠かせません。

ただ近年、「たんぱく質さえ摂れば大丈夫」では説明しきれない研究結果が報告されるようになってきました。

実際に、PRESIDENT Onlineで紹介された研究では、筋肉づくりは単純な「たんぱく質の摂取量」だけではなく、生活習慣全体の影響を受ける可能性が示されています。(President Onlineより)

筋肉が思うように増えない原因は、もしかしたら「何を足すか」ではなく「何を減らすか」にあるかもしれない。

本記事は「30代男性の脳と体を最適化する習慣」という全体設計の一部です。

▶︎ 30代男性の脳と体を最適化する習慣|サウナ・睡眠・デジタルデトックスで集中力と体力を整える

本記事では、その可能性を研究や専門家の見解をもとに整理していきます。

なぜプロテインを飲んでも筋肉がつかないのか

まず、筋肉がなかなか増えない理由として考えられることをおさえておきましょう。

筋肉が増えるには、大きく分けて3つの条件が必要です。

  1. 筋肉に適切な刺激(運動)を与えること
  2. 睡眠や休息で回復させること
  3. 材料となるたんぱく質を十分に摂ること

このどれかが欠けると、思ったように筋肉はつきません。

加えて、加齢による影響も見逃せません。30代以降になると筋肉量は自然と落ちやすくなり、以前と同じトレーニングをしていても維持するのが難しくなってきます。カロリーの摂取量が足りない場合も、体はたんぱく質をエネルギーとして消費してしまうため、筋肉の材料にまわりにくくなります。

こうした要因は以前から知られていましたが、近年は別の視点も注目されています。それが「添加糖」の影響です。

筋肉づくりだけでなく、日々のコンディションを整える栄養についてはこちらの記事でも紹介しています。

▶︎ 仕事の質を上げる。サラリーマンが常備すべき3つの栄養素と飲むインフラ

砂糖入り飲料は筋肉量の低下と関連する可能性がある

近年の研究では、砂糖入り飲料を日常的に多く摂取する人ほど、筋肉量の減少との関連が報告されています。

ここでいう「砂糖」とは、ご飯や果物に含まれる糖質ではなく、ジュースや炭酸飲料、スポーツドリンク、缶コーヒーなどに含まれる添加糖のことです。飲み物は糖を短時間で摂取しやすいため、摂り過ぎにつながりやすいと考えられています。

この考え方を裏付ける研究の一つが、京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤裕二教授らが進める京丹後長寿コホート研究です。

京都府北部の京丹後地域は、国内有数の長寿地域として知られています。2017年から始まったこの疫学調査では、サルコペニア(筋肉量の低下)やフレイル(心身の虚弱状態)の人が少なく、元気に生活している高齢者が多いことが確認されました。

さらに、2024年に発表された研究では、65歳以上786人を分析した結果、フレイルの人ほど豆類の摂取量が少ない傾向が示されています(※1)。

内藤教授は、この研究を踏まえたうえで次のように述べています。

「筋肉量の低下には、タンパク質摂取不足だけではなく、砂糖の摂取などの影響も考えられます」

砂糖の摂取とサルコペニアのリスクとの関連が示唆されており、この傾向は海外の研究結果とも一致しているとされています。

実際に、管理栄養士の望月理恵子氏が紹介している海外研究(※2)でも、砂糖入り飲料を飲む頻度が高い人ほど筋肉量指数が低く、筋肉量の減少と関連していることが報告されています。

※1 内藤裕二教授ら(京都府立医科大学大学院)が2024年に発表した論文より(PubMed ID: 39345290)

高齢地域住民における虚弱状態における栄養素/食物摂取量と腸内細菌叢の関係に関する横断研究:京丹後研究

※2 砂糖入り飲料と筋肉量の減少に関する研究(Nutrients誌、2022年、DOI: 10.3390/nu14224917)

加糖飲料の1日あたりの摂取頻度は、青年期の筋肉量指数の低下と関連している

砂糖入り飲料が“筋肉がつきにくい状態”に関わる理由

砂糖入り飲料が筋肉量の減少と関連すると考えられている理由として、専門家は主に2つの仕組みを挙げています。

糖化(AGE)の影響

血液中に余った糖が体内のたんぱく質と結びつく反応を「糖化」といいます。

糖化が続くと、AGE(終末糖化産物)と呼ばれる老化物質が生成されます。AGEは筋肉だけでなく、肌のたるみや血管の硬化など、全身の老化との関連も指摘されています。

プロテインでたんぱく質を補っても、そのたんぱく質が糖化の影響を受ければ、筋肉づくりの効率が低下する可能性があります。

糖化は見た目の老化にも関係するとされています。詳しくはこちらの記事で解説しています。

▶︎ 30代で急に老けた男の共通点

インスリン抵抗性と炎症

糖分を過剰に摂取すると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」が過剰に分泌される状態が続きます。

その結果、筋肉の細胞がインスリンに反応しにくくなる「インスリン抵抗性」が起こると考えられています。

インスリンには、アミノ酸を筋肉へ運び、筋肉の合成を助ける役割もあります。その働きが低下すると、筋肉がつくられにくくなると考えられています。

平成横浜病院の東丸貴信医師も、過剰な糖分摂取は炎症とインスリン抵抗性を引き起こし、筋肉が分解されやすい状態につながる可能性があると指摘しています。

つまり、たんぱく質を十分に摂っていても、それを筋肉へ活かす仕組みがうまく働かなければ、期待した効果は得られにくくなる可能性があります。

私自身も「足すこと」ばかり考えていた

正直に言うと、以前の私はプロテインを飲みながら、缶コーヒーやジュースも普通に飲んでいました。筋トレ後の水分補給にスポーツドリンクを選ぶこともありました。

もちろん、それだけが筋肉の増えにくさの原因だったとは断言できません。睡眠や運動量、食事全体のバランスなど、筋肉づくりにはさまざまな要因が関わります。

ただ当時の私は、「筋肉がつかないならプロテインを増やそう」と考えるばかりで、「何を減らすか」という視点はほとんどありませんでした。

砂糖入り飲料と筋肉量の関係に関する研究や専門家の見解を知り、自分の食習慣を見直すきっかけになりました。

プロテインの量を増やすことよりも先に、「筋肉を作る材料」を増やすだけでなく、「筋肉を作れる体の状態」を整えることも重要なのかもしれない——そう考えるようになったのです。

もちろん、砂糖だけが筋肉量を左右するわけではありません。

しかし、「何を足すか」だけでなく「何を減らすか」にも目を向けることは、筋トレだけでなく健康づくり全体にも共通する考え方なのではないかと感じています。

筋肉をつけたい人が今日からできること

研究や専門家の見解をふまえると、日常の中で見直せる点がいくつかあります。

砂糖入り飲料を減らし、水や無糖のお茶に置き換える

加糖の炭酸飲料・エナジードリンク・缶コーヒー(微糖も含む)・スポーツドリンクなどは、日常的に飲む量を意識的に減らすことが第一歩です。水や無糖の緑茶・麦茶に置き換えるだけで、日々の添加糖の摂取量はかなり変わります。

飲んでいるプロテインの糖質表示を確認する

フレーバー付きのプロテイン飲料には、糖が多く添加されているものもあります。成分表示で糖質量を確認する習慣をつけましょう。

たんぱく源の種類を見直す

京丹後の研究が示すように、魚類や豆類もたんぱく源として有効です。豆腐・納豆・蒸し豆など、日本の食卓に馴染み深い食品を取り入れることで、たんぱく質だけでなく食物繊維やミネラルも一緒に補えます。

加工食品の頻度を下げる

菓子類や加工食品には添加糖が含まれていることが多くあります。摂取頻度を意識的に減らすことも、添加糖の総量を下げる上で有効です。

よくある質問(FAQ)

Q. プロテインを飲んでいるのに筋肉がつかないのはなぜですか?

筋肉がつかない原因は、たんぱく質不足だけとは限りません。トレーニングの強度や睡眠、総摂取カロリー、年齢など複数の要因が関係します。近年では、添加糖の摂取量が多い人ほど筋肉量の減少と関連する研究も報告されており、日頃の飲み物や食習慣を見直すことも大切です。

Q. 砂糖入り飲料は筋肉を減らすって本当ですか?

近年の研究では、砂糖入り飲料を日常的に多く飲む人ほど筋肉量が少ない傾向との関連が報告されています。ただし、「砂糖入り飲料だけが筋肉を減らす原因」と証明されたわけではありません。運動や睡眠、栄養状態なども含めて総合的に考える必要があります。

Q. スポーツドリンクは筋肉に悪いですか?

スポーツドリンクは長時間の運動や大量に汗をかいたときには役立つ場合があります。一方で、日常的な水分補給として頻繁に飲むと、糖分の摂取量が増えると考えられています。運動量に応じて、水や無糖のお茶などと使い分けることが大切です。

Q. 缶コーヒー(微糖)は筋肉に影響しますか?

微糖と表示されていても糖類が含まれている商品があります。毎日何本も飲む習慣がある場合は、知らないうちに添加糖の摂取量が増えているかもしれません。購入時には栄養成分表示を確認し、糖質や糖類の量をチェックする習慣をつけると安心です。

Q. プロテインを飲めば筋肉はつきますか?

プロテインは筋肉の材料となるたんぱく質を補う食品ですが、それだけで筋肉がつくわけではありません。筋肉を増やすには、適切な筋力トレーニング、十分な睡眠、バランスの良い食事が欠かせません。さらに近年では、添加糖の摂り過ぎを見直すことも体づくりの一つのポイントとして注目されています。

まとめ

「プロテインを飲んでいるのに筋肉がつかない」という悩みは、たんぱく質の量だけを見ていても解決しないケースがあります。

京丹後長寿コホート研究をはじめとする国内外の研究では、添加糖の摂取量と筋肉量の減少との関連が示されています。砂糖が筋肉に悪影響を与えるメカニズムとして、糖化やインスリン抵抗性の関与が考察されており、複数の専門家もこの点を指摘しています。

筋肉づくりは「何を足すか」だけでなく、「何を減らすか」という視点も同じくらい重要かもしれません。毎日何気なく手にしている砂糖入りの飲み物——それを見直すことが、筋肉を守る第一歩になる可能性があります。

プロテインは筋肉づくりに役立つ食品ですが、それだけで筋肉がつくわけではありません。運動・睡眠・栄養の土台(Base)を整えたうえで、毎日の飲み物や食習慣も見直してみましょう。

今日から、飲み物の選択を少し変えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。


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